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第1章 総則
(趣旨)
第1条 この達は、陸上自衛隊における航空機の安全円滑な運航及び主として航空科部隊の運用に資するための気象業務について、必要な事項を定めるものとする。
(用語の定義)
第2条 この達において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号の定めるところによる。
(1) 予報 観測の成果等に基づく気象現象の予想の発表をいう。
(2) 気象ウォーニング 気象現象が原因で災害の発生又は航空機の運航に重大な影響を与えるおそれがあると判断される場合に、その旨を警告して行う予想をいう。
(3) 気象監視 特定の空域若しくは飛行経路上の気象又は特定の航空機が遭遇する気象を絶えず監視予察し、必要に応じて所要の気象勧告を行うことをいう。
(4) 気象資料 気象情報資料と気象情報の総称であって、気象に関するすべての資料をいう。
(5) 気象業務 気象に関する業務であって、通常、気象の観測、気象資料の収集、気象図及び予報等の作成、気象支援の実施、気象に関する調査・統計、気象資料の通報並びにこれらを行うために、必要な付帯業務をいう。
(細部実施要領)
第3条 中央管制気象隊長は、別紙第1に示す細部実施要領を定めるものとする。
(業務規則等)
第4条 方面航空隊長(以下「航空隊長」という。)は、隷下の方面管制気象隊が所在する飛行場及び場外離着陸場(以下「飛行場等」という。)ごとに、関係部隊等の長及び部外機関等の長と調整し、飛行場等における気象業務の円滑な運用を図るために必要な事項を定めるものとする。
2 方面管制気象隊長は、隷下の基地隊及び派遣隊(以下「基地隊等」という。)が実施する気象業務について、気象所勤務、観測、予報、気象支援及びその他の必要な事項に関する細部の勤務要領を定めるものとする。
(航空気象業務に従事する者の資格)
第5条 航空気象業務に従事する者のうち、特定の資格を必要とする者は、次の各号に掲げる者とする。
(1) 予報を作成する者は、「実務研修実施要領」に基づく飛行場等における所要の実務研修を終了し、かつ気象特技を有する幹部。
(2) 飛行場等における観測を行う者は、前号の幹部及び「実務研修実施要領」に基づく飛行場等における所要の実務研修を修了し、かつ気象特技を有する陸曹等並びに方面管制気象隊基地隊長又は同派遣隊長(以下「基地隊長等」という。)が特に観測技量十分と認めた者。
(気象業務に使用する地点略号及び国際地点番号)
第6条 陸上自衛隊の飛行場等の地点略号及び国際地点番号は、別紙第2のとおりとする。
第2章 気象所の運営
(気象所の運営及び服務)
第7条 基地隊長等は、所定の運用時間中は航空気象業務の円滑な実施を図り、常にその機能を発揮するよう気象所を運営し維持しなければならない。
このため、気象所には通常、当直の気象幹部(以下「予報幹部」という。)、気象陸曹等(以下「観測員」という。)及びその他必要な者を勤務させるものとする。
(運用時間)
第8条 気象所における各業務の運用時間は、「気象所の運用時間」によるものとする。
2 基地隊長等は、運用時間以外に気象支援を必要とする場合は、その都度気象所の運営を行うことができる。
(気象所運営の停止等の場合の処置)
第9条 基地隊長等は天災等真にやむを得ない事情により、気象所の運営又は第34条に示す保安系(陸上自衛隊通信実施業務規則(陸上自衛隊達第96―13号第15条)による。)への発信業務が不可能となった場合には、速やかにノータムを発行するものとする。
第3章 観測及び資料の収集
(観測業務の内容)
第10条 観測業務の主要な内容は、次の各号のとおりとする。
(1) 航空気象観測の実施
(2) 航空機による観測等の実施
(3) 観測諸元等の記録整理及び通報文の作成
(4) その他前各号に附帯する業務
(観測に使用する気象測器等)
第11条 観測業務に使用する気象測器等のうち、気象業務法(昭和27年法律第165号)に定めるものについては、同法の規定による検定に合格したものを使用しなければならない。
(航空気象観測の実施及び観測要領)
第12条 観測は観測員が実施するものとし、航空気象観測の要領は、気象庁が気象官署航空気象観測業務実施要領(昭和32年9月10日、気管第214号)により定める指針を準用して行うものとし、細部は「航空気象観測要領」による。
(航空機による観測等の実施)
第13条 基地隊長等は、当該飛行場等に所在する航空科部隊等の長から要求があった場合、又は気象業務実施上特に必要と認める場合は、航空隊長の定めるところにより、気象幹部又は気象陸曹等が搭乗して行う気象観測若しくは気象偵察を実施することができる。
(観測諸元等の記録整理及び通報文の作成)
第14条 基地隊等において観測した観測諸元(以下「観測諸元」という。)は、「航空気象観測要領」で示す様式に記録し、収集した各種の観測資料は、じ後の気象業務に活用できるよう適宜の要領により記録整理するとともに、通報を要するものはそれぞれ所定の通報文を作成するものとする。
(気象資料の収集)
第15条 気象資料は、自隊の観測及び保安系により収集するほか、通常次条から第19条までに規定するところにより行うものとする。
(管制塔における観測及び収集)
第16条 陸上自衛隊が管理する飛行場に勤務する飛行場の管制所の航空管制員及び場外離着陸場に勤務する隊員は、「管制塔員気象観測要領」により管制塔において特定の観測を行うことができる。管制塔観測の範囲及び資格は別紙第3のとおりとする。
2 前項に定める航空管制員及び隊員は、前項の観測を行った場合及び飛行中の航空機から気象通報を受けた場合は、その都度それらの気象資料を気象所へ通報するものとする。
(機長の気象通報)
第17条 機長が行う着陸後の気象通報は、飛行計画書及び飛行気象予報の航路予報欄の記載事項について、その有無及び強度等を通報するものとし、予報幹部が要求した場合は、「操縦士気象報告作成要領」に基づき「操縦士気象通報」を提出するものとする。
機長は、飛行中に予報されなかった気象状態又は他の航空機の運航に重大な影響があると考えられる気象状態に遭遇した場合には、最寄りの航空交通管制機関に通報するものとし、また予報幹部から管制塔を通じ遭遇した気象に関する資料を求められた場合は、可能な範囲において協力するものとする。
(操縦士気象報告の作成)
第18条 予報幹部は、「操縦士気象通報」のうち航空機の運航に重大な影響を及ぼす気象現象があると認めた場合は、「操縦士気象報告作成要領」に基づき「操縦士気象報告」を作成するものとする。
(気象資料収集等の依頼等)
第19条 基地隊長等は、保安系その他の手段により入手できない駐屯地の観測資料等を必要とする場合は、電信電話等により関係部隊等の長に依頼し収集することができる。この場合、依頼を受けた部隊等の長は、その能力及び本来の任務遂行に支障を及ぼさない範囲内において、協力するものとする。
2 基地隊長等は、気象資料の迅速な収集及び局地気象の把握に着意するとともに、特に必要な場合は直接気象官署等から所要の気象資料の提供を受けることができる。
(観測業務の特例)
第20条 国土交通大臣又は地方公共団体が管理し陸上自衛隊が共用する飛行場及び八戸飛行場においては、滑走路視距離の観測を行わないものとする。
第4章 予報等の作成
(予報等の作成内容)
第21条 予報等の作成の主要な内容は、次の各号のとおりとする。
(1) 気象図等の作成
(2) 予報の作成
(3) 気象ウォーニングの作成
(気象図等の作成)
第22条 気象図等は、正確な気象現況の把握と的確な予報を主眼として、「気象図作成要領」に基づき作成し、通常、地上天気図、高層天気図(等圧面天気図)、高層風図、断熱図、天気変化図及びその他所要の補助図等を基準として整備するものとする。
(予報の区分及び作成)
第23条 基地隊等において作成する予報は、航空気象予報及びその他の予報とし、航空気象予報は、通常、飛行場予報、経路予報(航空路予報)及び空域予報に区分する。
2 予報幹部は、次の各号に掲げる基準によりそれぞれの予報を作成するものとする。
(1) 飛行場予報は、「飛行場予報作成要領」に基づき作成する。また、飛行場予報断面図は、各飛行場の運用時間等の特性に応じて「予報断面図作成要領」に基づき作成し、予報を更新の都度所要の修正を行う。
(2) 経路予報は「予報断面図作成要領」に基づき作成する。経路予報断面図は、通常、機長等から要求があった場合努めて作成する。
(3) 空域予報は「予報断面図作成要領」に準じて作成する。
(4) 前各号のほか、その他の予報を要求された場合は、通常その都度それぞれの要求に応じた内容をもって作成する。
(気象ウォーニングの作成)
第24条 予報幹部は、航空機その他の施設に重大な影響を及ぼすおそれのある気象状態が予想される場合は、「気象ウォーニング作成要領」に示す基準により気象ウォーニングを作成し、発表するものとする。
第5章 気象支援
(気象支援の内容)
第25条 気象支援とは、航空機又は航空科部隊等の任務達成を容易にするために行う気象情報の提供等をいい、その主要な内容は、次の各号に掲げるとおりとする。
(1) 気象説明の実施
(2) 観測諸元の通報
(3) 気象の解析成果及び予報の提供
(4) 気象ウォーニングの通報
(5) 飛行計画書飛行気象予報の記入
(6) 気象監視
(7) その他の気象情報の提供
(部隊等に対する気象支援)
第26条 基地隊長等は、当該飛行場等に所在する航空科部隊等に対し、適時適切な気象支援を行わなければならない。また、基地隊等が所在する駐屯地の駐屯地司令(又は分屯地司令)に対しては、必要の都度所要の気象支援を行うものとし、航空科以外の部隊等から要求があった場合には、可能な範囲で協力するものとする。
(航空機等に対する気象支援)
第27条 予報幹部は、「飛行気象予報の記入及び気象説明実施要領」に基づき、出発する機長に対して最新の気象資料に基づく気象説明を直接行った後、差し出された飛行計画書の飛行気象予報用紙に記入し署名するものとする。
2 陸上自衛隊航空機の運航実施に関する達(陸上自衛隊達第99―7号)第17条第2項に規定する機長から、電話等により飛行のための気象支援の要求を受けた場合は、前項に準じて気象説明を行うとともに、所要の記入事項を通報し、その控えを気象所に保存するものとする。
3 在空機に対する気象勧告は、やむを得ない場合のほか、運航係幹部等(運航係幹部及びこれに準ずる者をいう。)を通じて行うものとする。
(運航事務所及び管制塔に対する気象支援)
第28条 気象所の勤務者は、常に運航事務所及び管制塔と連携を保持し、適切な気象支援を行うものとする。ただし、国土交通大臣又は地方公共団体が管理し、陸上自衛隊が共用する飛行場及び八戸飛行場にあっては、通常管制塔に対する気象支援は行わないものとする。
2 飛行場等ごとに定められた各種気象状態の最低気象条件未満の値及び機種別飛行制限値等を観測した場合は、直ちに運航事務所に通報しなければならない。
3 専用飛行場においては、観測の都度所要の観測諸元を管制塔に通報するものとする。
(予報等の掲示)
第29条 飛行場予報断面図その他所要の気象情報は、常に最新の状態で気象所に掲示するものとし、当該予報を著しく修正したときその他必要な場合は、関係部隊等に速報するものとする。
(気象ウォーニングの通報)
第30条 気象ウォーニングを作成、修正又は解除した場合は、機を失せず在空機及び関係部隊等に通報するとともに、必要に応じ、ノータムを発行するものとする。
(気象監視)
第31条 基地隊長等は、当該飛行場等における航空機の運航及び航空交通管制業務に影響する気象状態について、運用時間中は常時気象監視を行うものとする。
2 前項の気象監視及び特定空域並びに在空機に対する気象監視は「気象監視実施要領」に基づくものとする。
3 札幌飛行場及び八戸飛行場並びに国土交通大臣又は地方公共団体が管理し陸上自衛隊が共用する飛行場を使用する航空隊長は、気象監視について、当該飛行場の管制気象業務を担任する部隊又は官署の長と協議することができる。
(海上自衛隊及び航空自衛隊の航空機等に対する気象支援)
第32条 陸上自衛隊に属さない自衛隊の航空機及び部隊等から要求があった場合は、可能な範囲で陸上自衛隊に対する気象支援に準じて協力するものとする。
(予報の発表制限)
第33条 予報(指定された飛行場等の飛行場予報を除く。以下同じ。)及び気象ウォーニングは、自衛隊以外に発表してはならない。ただし、専用飛行場(札幌飛行場を除く。)において自衛隊以外の航空機が当該飛行場を使用するために必要な場合、又は専用飛行場において飛行中の自衛隊以外の航空機から管制塔を通じて予報等の要求があった場合は、この限りでない。
第6章 保安系による気象資料の通報及び編集並びに気象通信
(基地気象報の通報)
第34条 基地隊長等は、通常次の各号に掲げるものを基地気象報として、「基地気象報等通報要領」に基づき保安系に通報するものとする。
(1) 定時及び特別飛行場実況気象報
(2) 飛行場予報
(3) 操縦士気象報告報
(4) その他特に必要な気象資料
(中央管制気象隊長の行う気象資料の編集及び通報)
第35条 中央管制気象隊長は、気象庁及び他の自衛隊等から収集した気象資料を、各飛行場等における気象業務の遂行に適合するように編集し、中央気象報として保安系に速報するとともに、基地気象報についても同様に編集し、速報するものとする。
(気象通信の実施要領)
第36条 保安系による気象通信の実施要領は、陸上自衛隊通信実施業務規則(陸上自衛隊達第96―13号)に定めるところによる。
第7章 気象に関する調査及び統計
(気象調査)
第37条 航空隊長は、航空機の運航及び航空科部隊の運用に影響する当該方面隊区内における局地的な気象変化の実態を明らかにするため、計画的な気象調査を実施するものとする。
2 基地隊長等は、日常の気象業務を通じ継続して観測及び予報に関する技術的な調査等を行い、特に各飛行場等及びその周辺における気象の予報則または経験則の解明整理に努めるものとする。
3 中央管制気象隊長は、航空気象に関する技術資料等を調査収集し、整理するものとする。
(気象統計資料)
第38条 基地隊長等は、当該飛行場等の観測諸元及び気象変化の量的時間的限界等を整理し、飛行場等及びその周辺の気象状態を明らかにするための統計資料を作成するものとする。その作成要領は、暦年ごととし「気象統計資料等作成要領」を準用する。
2 中央管制気象隊長は、飛行場等の気象資料を整理し、主として全国的な航空気象に関する統計資料を作成するものとする。
(飛行場気象便覧)
第39条 基地隊長等は、予報の精度向上に資するため、当該飛行場等及びその周辺の気象特性を把握し、「気象統計資料等作成要領」に基づき飛行場気象便覧を作成するものとする。
2 中央管制気象隊長は、各気象所の飛行場気象便覧を編集し、おおむね5年に1回を基準として「陸上自衛隊飛行場気象便覧」を作成し配布するものとする。
(気象資料の保存)
第40条 気象資料は、常に活用できる状態に整理し、「気象資料の保存基準」に基づき保存するものとする。
第8章 雑則
(観測施設の設置又は廃止に伴う報告等)
第41条 方面総監は、航空気象観測施設を設置又は廃止した場合は、気象業務法第6条第3項並びに同法施行規則第2条第1項及び同条第2項の規定による気象観測施設設置(廃止)届出2通を提出するとともに、その写に観測施設の位置(緯度・経度)及び水銀気圧計の高さ(平均海面上)を付記して、速やかに陸上幕僚長(運用支援・情報部長気付)に報告するものとする。(情定第1号)
(航空気象業務報告)
第42条 航空隊長は、別紙第4に示す航空気象業務報告を、順序を経て陸上幕僚長(運用支援・情報部長気付)に報告するものとする。(情定第2号)
(特定飛行場等における航空気象業務)
第43条 国土交通大臣又は地方公共団体の長が管理し陸上自衛隊が共用する空港における航空気象業務は、陸幕調第112号(17.5.26)別添「飛行場における防衛庁と気象庁との航空気象業務の相互協力に関する協定」によるほかこの達に定めるところによるものとする。
2 防府飛行場における航空気象業務のうち、第2章から第6章までの規定については、中部方面航空隊長が当該飛行場の気象業務を担任する航空自衛隊の気象部隊等の長と協議のうえ、行うものとする。
3 市ヶ谷場外離着陸場における航空気象業務の実施は、可能な範囲においてこの達に準じて行うものとする。
4 中央管制気象隊長が行う航空気象業務は、この達に定めるほか別に示すところによるものとする。
(委任)
第44条 この達の実施に関し必要な事項については、中央管制気象隊長が定めることができる。
附 則
この達は、平成18年3月27日から施行する。